2016年5月16日月曜日

『地形と気象』刊行記念イベント




   5月14日、左右社から刊行されたばかりの『地形と気象』の記念イベントが、東京は一橋学園駅にちかい「学園坂スタジオ」(作曲家・港大尋さん主催)にて開催。盛況のうちに無事閉幕しました。

    ご来場のみなさま、ありがとうございました!

     出演は、ともに一年間、左右社ホームページで連詩をつづりつづけた詩人の暁方ミセイさん、管啓次郎さん、大崎清夏さん、石田、『地形と気象』フルメンバー。さらに、ピアノで港大尋さんが加わってくださった。上写真はそのリハーサルの光景。

    プログラムは、

1.『地形と気象』全文朗読
2.トーク
3.各詩人による自作詩のリレー朗読、ピアノは港大尋さん

という内容でした。

    全演目において、かなり即興性の高いのが、なんというか『地形と気象』らしかったです。ひとりが自分の詩を日本語で読んでいると、Jeffry Johnsonさんがつけてくださった英訳を他のメンバーが即興的に読みはじめ、オーバーラップさせてゆくとか。座ったり、歩き回ったり、アンプラグドしたり、すこしダンスしたり、ジャズ・バンドのジャムセッションのごとし。

    書く場とおなじで、朗読の場でも、ぼくらは「個」から脱走していたと思う。個人朗読だとかなわない動作や声や身体性が、複数者間の朗読では獲得できることが、今回のリーディングをとおして体感できた。ぼく個人はおおいに楽しませていただいた。
    でも、このハプニングは、『地形と気象』のメンバーだからできたのではないか。ぼくはともかく、三人の詩人たちは、詩の身体性においても多様なポテンシャルを秘めている。だからこそ。

    すばらしいCD「0点の世界」をリリースしている港大尋さんのピアノは、ジャズ、ブルース、現代音楽、ワールドミュージックを縦横無尽に歩き渡りながら、詩の言葉に応え、火花を散らしていた。学園坂スタジオには本棚があって、詩集や哲学書でいっぱい。そんな、港さんの読書が、音にもちゃんと潜んでいる。
    音楽に詩をあわさせようとする音楽家は知っている。しかし、港さんのピアノは、詩を変更することなく、その字間や行間を自在に歩いたり、飛び散ったりして、詩の言葉を音楽に変えてゆくようだ。
    港さんとコラボできる詩人は、幸運だし、しあわせだと思います。ぼくも今回、ちょっとだけあやかれた。

    このイベントは、管啓次郎さんが港大尋さんとともに企画してくださった。それにしても、管さんのまわりには、じつにいいアーティストたちがいて、おどろかされる。

    『地形と気象』の活動はこれで終わりではなく、はじまったばかり。テキストとしては完結したけれど、今後はライブ活動?がつづくと思います。そして、バイリンガル詩集であるがゆえにも、海外をめざしたい。
    打ち上げでは、こんな夢物語に花が咲いた。もとい、詩で夢を見ずしてなんになろう。

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