2013年3月29日金曜日

3/30読売新聞夕刊に詩が載ります


陸前高田にいったときに目にした
「奇跡の一本松」についての詩です。
あの木は、3.11以後の
だれのこころにもある。
そして、その姿は
われわれでもある。
そんな祈りをこめて書きました。
ぜひ、ご一読ください。

見沼の桜トンネル









雪の風花の舞う
奥那須から帰ってきたら
地元の見沼ではお花見が最高潮。

ぼくの住む埼玉県さいたま市
見沼区は隠れた桜の名所でもあります。

江戸時代に井沢弥惣兵衛により
見沼代用水を中心に開拓された
1000haをこえる広大な田園地帯。
見沼代用水は水田に水を供給するとともに
利根川や荒川を経由して
浅草まで伸びた水路としても発達。
その見沼代用水沿いになぜか
人知れず植えられた桜並木が
ずーっと、ずーっとつづいているのです。

ぼくの住む見沼代用水の「東べり」が
約10kmもつづく桜並木
「西べり」が約8kmの桜並木
正確な桜の本数はわかりません。

だいたいがソメイヨシノなので
開花時期はほぼいっしょ。
見沼は対岸まで見晴らしがいいので
数kmにおよぶ桜が咲きそろうのは壮観です。

今日は妻ととともに自転車にのって
桜並木をサイクリング。
ランチはハイボールの濃いめと
サンドウィッチ。
自転車に乗っても桜並木を一周するには
ほぼ一日かかります。
さいたまには去年の三月に引っ越してきました。
その四月にこの桜並木を妻と犬とでハイキング。
妻は「こんなにたくさんの桜を
見たのははじめて。
なんだか、お腹いっぱい」
二時間ほど桜の下を自転車でゆくと
この世界において
桜のこと以外は考えられなくなる。

今年はこちらでも桜が一週間は早いので
夕には花吹雪にになり
桜の花びらが風に吹かれて
ころころと勢いよく足元に駆け寄ってくる。
西行さんの
「たぐひなき花をし枝に咲かすれば
桜に並ぶ木なそなかりける」という心に染まりそうな
ちょっぴり名残惜しい、でも、もう終わりの桜。

芝川土手には菜の花も絨毯を広げていました。
気配がしてふと足をとめると菜の花の群落から
ケーン、ケーンと盛大な嬌声をあげて
鶏大のかわいいお尻の鳥が舞い上がる。
春になって渡ってきたキジの雌鳥でした。

2013年3月28日木曜日

秘湯の宿 大丸温泉


大丸温泉旅館から


宿の食事


A5ランク 那須黒毛和牛


とちおとめの白玉


鹿の湯近辺



久しぶりの奥那須大丸温泉へ
茶臼岳、那須五峰を見晴るかす
標高1,300メートルの宿
明治創業の大丸温泉旅館に泊まりました。

数年前に訪れたときは真冬。
雪見酒をしながら
オオタカを見にきたのが最初。

ここには「川床の湯」と呼ばれる
源泉掛け流しの温泉がある。
那須湯本というと
硫黄のにおいの強い白濁した湯だけれど
ここのお湯は無臭透明
沢に流れ込んだ温泉を
そのまま引き入れているからだそう。
さらっとして透明感のある泉質は
北湯に似ている。

今回の夕食はA5ランクの黒毛和牛
(那須牛とも呼ばれる)の
しゃぶしゃぶがメイン。
250グラムのステーキも旨そうだったなあ。

朝食は稚鮎の一夜干しや
蕎麦餅のバター焼きなど。
那須は米どころあって
釜で炊きたての
ふっくっら瑞々しい白米を
何杯もおかわり。
那須は水がとても豊かでおいしい
あまやかで、さらっとしている。
山肌のそここでも清水が湧いている。
その水で炊きあげているのだから
尚更ご飯もおいしいのだ。

仲居さんのなかには
福島から来られた方もいました。
地元ではなかなか観光産業の職がなく
ハローワークの紹介で遥々働きにいらしたとか。
「いきなりこんな山奥にきてしまい
慣れないころは、毎晩涙がでました」とのこと。
大洗でもそういう方に出会った。
ぼくらの知らないところで
まだまだ、そういう方がいらっしゃる。
福島、北陸の復興、急務なり。

翌朝、山頂は靄がたちこめ
みぞれから雪の風花にかわる。
那須湯本までおりて鹿の湯に。
那須ローストチキンと
和牛サイコロステーキが有名な
「鶏春」は水曜日でお休み、残念。
よって、近くの食事処で昼食。
シーズンオフでそこしか営業していない。
にもかかわらず
「食事してくれたら
鮎の炭火焼をサービスするよ」
ぼくは那須牛のカットステーキにする。
焼きたての鮎が二本もきた。
あつあつの鮎にかぶりつき、ビール。
食後のコーヒーをのんでいたら
「雨がふってるからね
もう一杯サービスだ」と、おばちゃん。
温泉だけでなく
人情と旅情あふれる奥那須にもてなされ
こころも体もあったかくなった。

2013年3月26日火曜日

浦和の寿司屋で一杯


和歌山県 那智勝浦の鮪の握り


ホオホオの板じめ


愛知のシャコ蒸し


子もちヤリイカの煮付け


冷やし鉢


フグの白子 炊き寄せ


穴子の子


愛知のアオヤギ


鹿児島のアジと桜島大根のかわり握り


明石の桜鯛と海老の握り
日曜日の夜のこと。
クリエイターの先輩たちがH氏賞受賞の
お祝い膳をふるまってくださいました。

浦和玉蔵院の天然記念物「大しだれ桜」を見た後
浦和駅東口近くの寿司屋「よし佳」(よしか)へ。

あくまで私見ながら
さいたま市一(本音は県内一、といいたい)の
お寿司屋さんだとおもう。

都内で修行されていたマスターは
毎朝、築地まで仕入れに。
風貌は入道のようだけれども
物腰は柔和
料理をだしてくれるときは必ず
「失礼いたします」と
折り目正しく声をかけてくれる。
入口外観はふつうの寿司屋さんですが
店内は白木のカウンターのみ
清潔にして清浄。
マスターのお人柄なのか
休日ともあって家族連れが多かった。

その夜は、おつまみを多めに
握りを少なめにした「おまかせ」を頼む。
山葵だけで食べる明石産の煮蛸を皮切りに
塩で食う氷じめ帆立、シャコ蒸しなど
おつまみだけでも8品ほど。
ホオホオの板じめは薄身だが
ねっとりした舌触りと歯ごたえが
春魚の醍醐味であって、こたえられない。
サービスでだしてくれた穴子の子酢物は
透明でこりっこり。
この時期、穴子は産卵期で
身はたいして旨くなく
よって、だせないとのこと。

写真はないけれど
「これが本物の絹ごし豆腐」もでた。
京都御所秘蔵のレシピを再現したもので
胡麻豆腐と見紛うほどの
ねっとりとしたコクがある。
冷やし鉢のたれになっているのが、それ。
昔の絹ごし豆腐って、こんなに濃かったのか。
マスターは「すし研究会」や
「和食研究会」の会員でもある。

握りは、かわり種の
鹿児島鰺と桜島大根酢漬け
とろっとした鰺と酢漬け大根の組み合わせが
桜のような香しさを運んでくれて
まさに春の風味。
明石の桜鯛は
明石海峡を回遊しながら身が
自然と引きしまり
肌身が薄いピンクに染まる。
大味の鯛より、こちらのほうが
しゃりには合うとおもう。

〆の握りは、日本鮪の捕れる最南端
那智勝浦の赤身と大トロ。
赤身は寝かして四日目のもので
鉄分値が最大になる。
大トロは八日間寝かしたもの。
しゃりは、ササニシキの新米と
古米をブレンドしているという。
お客さんによって空気分も調節。

「寿司屋で腹いっぱいになるなんて
なかなかないでしょう」とマスター。
一同、とにかく満腹、お会計も
「都内の三分の二ぐらいじゃない?」
酒をひとり三本ぐらい飲んで一万二千円ちょい。

先輩方、浦和まできてくれて
ほんとうに、ありがとう。
桜と春の寿司と二十年の淡交に感謝。
大満足の一夜でした。

2013年3月24日日曜日

浦和の蕎麦屋で一杯


フォアグラレバー入り 肝せいろ


カリフラワーのムース


ぶりのスモーク


牛ほほ肉の煮込み


箸でちぎれる、ほろほろ感


先週金曜日の話のつづき。
浦和で花見、古民家喫茶「楽風」のあとは
浦和ナカギンザセブンの吞屋街。

まず、「クラフトビアー・ベイビー!」で
埼玉県羽生市産のIPAビール「こぶし花」ほか数杯。

なんとなく小腹がへったので
3、4軒先の個性派蕎麦屋「庵浮雨」(あんぷう)へ。

un peuという店名どおり
かつてフレンチで修行したオーナーがひらいた
浦和で知られているお蕎麦屋さん。
ちょこっと(un peu)
おつまみが美味しくシャレています。

フォアグラ入りのつけだれ蕎麦(千円也)は
ここの名物。
手打ち蕎麦にフォアグラがからんで
お味は、、お試しあれ(笑)

浦和は県庁、浦和高等裁判所や新聞社があり
食文化は栄えている、とおもう。
折しも金曜日の夜、これから呑み歩くという
若手弁護士(仮名キツネ)さんと歓談。
キツネ「さっきベイビー!にいました。
庵浮雨で蕎麦屋呑み、次は焼き鳥、
最後は寿司をひと口つまんで…」
筆者「ずいぶんいきますね」
キツネ「でも金がないんで
ぜんぶいって、5千円以内です。
毎週金曜日はこんなかんじすね」

まじか!

2013年3月23日土曜日

浦和の古民家カフェ 楽風





八本目になる「H氏賞受賞の言葉」を
無事入稿後
図書館で仕事をしようとおもひ
午後から浦和へゆく。

駅をおりたら、あらあら、まあ
図書館とは反対方向へ。
コンビニに立ちよるや
ワンカップを買って歩きはじめた。
うららかな春の陽ざしを
肌にしみいるように感じながら
桜をもとめて、ふらふら。

兎で有名な調神社
(つきのみやじんじゃ、という)
桜は八分咲き
そのしたで、花見酒。

酔いざましにお茶でもとおもひ
浦和の老舗喫茶店「楽風」(らふ)へ。
ビルと住宅に囲まれた路地を入ると
こつ然と古民家(納屋?)と庭
りっぱな桜の木があらわれます。

明治創業の茶売店「青山茶舗」の
オーナーがはじめた喫茶店は
珈琲ではなく、煎茶や抹茶がメイン。
店内が美術ギャラリーになっているのも
浦和らしい。

ぼくが学生のころは
隠れ家的な静かな喫茶店で
地元の人しか知らなかった。
いまは雑誌やネットでも紹介されて
平日でも満員の人気店。

なにもかも忘れ(笑)
庭の桜をぼんやりお花見しつつ
抹茶をすするには
最高の季節。

2013年3月20日水曜日

さくら咲く




著者と犬、散歩中。


庭のしだれ桜が、もうほぼ満開。
例年より一週間ほど早いかも。

樹齢四百年のしだれ桜が
また一年、歳をかさね
花びらを吹雪かせる。

お花見客の足が途切れた夕方
だれもいない庭で
ひとり、桜と向きあい
古唐津に酒をそそいで
花見酒。

酒は、埼玉県小川町の地酒
帝松大吟醸「ほうしょう」。

2013年3月18日月曜日

彼岸の入り




きょうは、お彼岸の入り。
とはいえ、、
関東はすごい春風と土ぼこりでしたね。

それでも、春の準備は着々とすすみます。
庭のしだれ桜は、もう四分咲きぐらい。
来週には満開になるかもしれません。

さいたまの見沼のおばあちゃんが、朝の七時に
草餅をついて、もってきてくれました。
なかの草は畑端でとれた蓬(よもぎ)。
あんこも自家製。
早朝に鍋でたいてくれたものです。
甘さ控えめで
お店では味わえない
濃い緑の薫りと、舌先に春草の感触がのこって
おいしかった。

足元の、春の足音がおもしろくて
なかなかフランスのことが書けません。

2013年3月16日土曜日

春のとびら




帰宅したら、辛夷の花が咲きはじめていました。
やっと、春。
うれしいですね。

今日は、H氏賞受賞後にご注文をいただいた
原稿を四本入稿。
読売新聞社からたのまれていた
詩作品も第一稿を書きあげました。
あとは、インタビュー。
このタイミングでの出張
ご迷惑をおかけしました。
たくさんのご依頼をありがとうございます。

アメリカ文学研究の俊英
山内功一郎さんから
リン・ヘジニアンの日本語訳詩集
『「マイ・ライフ」より』
(山内功一郎監修、小泉純一、
井上(重)敏郎、向山守、山内功一郎訳
メルテミア・プレス刊)
が届いていました。
アメリカ詩 90年代の「言語派」
(日本の現代詩の「エクリチュール派」みたいなもの)
そのなかでは、いちばん好きな詩人のひとり。
学生時代になんとか原文で読もうとした詩人が
日本語で読めるなんて!
クリアーで平易な文体で日々をつづりながら
いつのまにか言葉の多面性へと
ひらかれた音楽を奏でてゆく
横書きの散文詩(もとがアメリカ言葉ですので)。
ぼくの先輩・山内さんが
リンを訳していたなんて、知らなかったなあ。
今晩はもうペンをおき
ビール片手にじっくり読みたいとおもいます。

ブログはこれから
集中して更新してゆきます。
おきかせしたい、お土産話もあるので。

2013年3月4日月曜日

いってきます。ブログのお休み


早朝の青山 某ホテル25階から


旅、というか出張で
本日より3月13日まで
ブログをお休みします。

行き先は、14日の更新から
ちょっとずつお知らせを。

このタイミングで、申し訳ありません。
ご理解賜りますよう、お願いいたします。

See you later, alligator! 

2013年3月3日日曜日

第63回 H氏賞を受賞しました


昨日、3月2日の夕刻
日本現代詩人会 H氏賞選考委員会より
お電話をいただき、『まどろみの島』が
第63回H氏賞を受賞した旨、
お知らせをいただきました。

まだ、あまり実感がわかないのですが
吉岡実をはじめ錚々たる受賞たちを輩出する
歴史ある賞をいただけたこと
深く、深く、感謝しております。
これからも、気をひきしめて、精進いたします。

昨晩から、多くのお電話やメールをいただいております。
受賞直後に電話をくださった、
城戸朱理さん、和合亮一さん
「現代詩手帖」総編集長・髙木真史さん
電報をくださった野村喜和夫さん
海外からメールを送ってくださった方々
応援してくださった皆様
ほんとうに、ありがとうございます。

ウィリアム・カーロス・ウィリアムズとアメリカ詩の
素晴らしさを教えてくださった学生時代の恩師
獨協大学の原成吉先生からもメールをいただきました。
原先生と獨協大学原ゼミのみなさん
そして「遊牧民の会」との出会いがなければ
ぼくが詩を書くことはなかったと思います。

家族をふくめ、感謝を捧げたい方々は
たくさん、たくさん、いますが
いまはここまでにしておきます。

昨晩は妻がハンバーグを焼いてくれました。
夕食後は、ぼくより七つ歳うえのアルマニャックと
執筆の友、ゴロワーズとで静かにひとり呑み。
従妹の遺影のとなりで
深夜おそくまでグラスをあげました。

天国にいる美生、ありがとう。

2013年3月1日金曜日

古川日出男 デビュー15周年イベント


古川日出男さんの朗読


小島ケイタニーラブさん



演劇カンパニー ロロ

アップが遅れましたが、
小説家・古川日出男「朗読空間 声を狩る2013」
(於:青山 月見ル君想フ)
いってまいりました。
2月25日夜のことです。

かつて演劇をやっていたという、古川さん。
そのせいもあって、朗読劇ふう、と思いきや、
小島さんのギターとターンテーブル
パチパチいうタイプライターの打音にのって
小説言語でロックを奏でると思いきや、
朗読を文学と他者の、交通と交錯の場にかえてしまう。
パワフルなステージを織り上げていました。

「声を狩る」とは
すなわち、「本」、あるいは
朗読によって逆説的に
「小説が書かれる現場」へと回帰する
試みでしょうか。

小島さんとのペップトークからはじまり
宮澤賢治作品をエディットした
『春の先の春』の朗読。
三浦直之氏主催の岩手演劇カンパニーへとつなげ
批評家・佐々木敦さんとのトークへ。
小説を源流に
多様なパフォーマンスの流れを生みだした
圧巻のステージでした。

ぼくは8年前に「Edge in Cafe」のイベント・ディレクターを
3年ほどつとめさせていただきました。
朗読だけに完結しない、詩のイベントをどうたちあげてゆくか。
当時は、第1詩集『片鱗篇』を
ターンテーブルにのせて朗読したり
アメリカ詩や古本、ビジュアルポエム
現代詩とミュージシャンをからめてみたり。
ポイエーシス(詩的創造)を中心に
いくつかの十字路のゆききを試みました。

今回のステージを観て
(十字路とはちがうかもしれませんが)
古川さんの朗読と問題意識
イベントの構築手法に、僭越ながら共感いたしました。

詩のあたらしい頁をひらく
朗読イベントを、また〝だれかと、ともに〟つくってみたい。

ポエジーのあらたなクロスロードを求めて。